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ただボソボソとつぶやくのみ

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ニセ科学にハマりやすい「母親」と「がん患者」の共通点

各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと

各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと

  • 作者: 宋美玄,姜昌勲,NATROM,森戸やすみ,堀成美,Dr.Koala,猪熊弘子,成田崇信,畝山智香子,松本俊彦,内田良,原田実,菊池誠
  • 出版社/メーカー: 株式会社メタモル出版
  • 発売日: 2016/07/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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出版前から話題だったこちらの本に関連して、少し。

こちらの本のターゲットである子育て中の親、特に「母親」にはニセ科学にはまりやすいというイメージがありますよね。ずっとなんでだろうと不思議だったのですが、私自身が出産し、初めての育児を経験する中で「ああ、「母親」ってこういう状況に置かれるからニセ科学(特に代替医療系)にはまっていくんだな」と感じたことがありました。

その状況とは、『自分の意思でコントロールできない身体の動きが命に直結している』というもの。具体的には母乳育児のことです。

新生児は当たり前ですが母乳(かミルク)しか摂取できません。母乳(とミルク)は文字どおり新生児の命綱です。足りなかったら簡単に脱水症状や栄養失調になって死んじゃうかもしれない。死なないまでも成長が遅れたりするかも…。

しかし母乳は母親が「出そう!」と思ったからって出せるものではありません。母乳を作っているのは間違いなく自分の体なのに、どんなにたくさん作りたいと願っても主観的には何もすることができない。この状況に、多くの母親は焦りを覚えます。

さらに言うと「もう母乳が出ない」とはっきり分かればスパッとミルク育児に切り替えられるのに、そういういうわけでもなく。今日たまたま母乳が足りなくても、明日からたくさん出るかもしれない。「母乳で頑張る」にしても「ミルクも飲ませる」にしても、(特に初産の場合は)確信を持って決断できません。どっちを選んだとしても迷いが残り、大きなストレスになります。

そんな時、「こうすれば母乳が増える!」「これを食べれば母乳の質が良くなる!」という情報を目にしたら。ニセ科学特有の断定的な言い切りと共に、”具体的にやるべきこと”が提示されていたら。そりゃあ飛びついてしまいますよ。重くのしかかる不安やストレスの原因を解消するために、自分でできることがある!と言われて興味を持たない人の方が少数派でしょう。

そしてたまたま提示されていたことを実行した時に母乳が増えたら、それを信じてしまうのも無理はないと思います。本当に因果関係があるのかとか、根拠は何かとか。そんなこと、連日の寝不足で朦朧とした頭で考えている余裕はありません。そこから少しずつ、その周辺にあるニセ科学にハマっていく…。そんなケースが容易に想像できるのです。

で。この『自分の意思でコントロールできない身体の動きが命に直結している』という状況。「母親」と並んでニセ科学の餌食になりやすい印象が強くある「がん患者」の方々にも当てはまることに気づきました。

がんの治療はかなり大雑把に言うと、三大治療でがん細胞を極限まで減らし、その後5年(または10年)再発しなければ完治、という流れです。三大治療の辛さはよく取り沙汰されますが、精神的に一番キツイのって、実は治療後から完治までの期間じゃないかと思うんです。

治療中は頻繁に医者に診てもらえるので、何か異変があったらすぐに対応してもらえる安心感があります。でも治療を終え経過観察に入ると、がんの種類や症状によっては服薬すらせずただ定期的な血液検査をするだけになります。自分の体ががん細胞を抑えられるかどうかが命の分かれ目なのに、これまた主観的には何もできない。その不安とストレスたるや相当なものですよ。

そこにまた甘美な言葉とともに”具体的にやるべきこと”が提示されていたら、すがる思いで飛びつくのも無理はないと思いません?というか、そもそも再発しないように祈るしかない状況なわけですから、たとえ本気で信じていなくても「願掛けのつもりで…」と手を出したが最後、やめられなくなってしまうなんてこともあるんじゃないでしょうか。

人がなぜニセ科学にハマるのか、いろいろ考察されていっぱい書籍なんかも出てますが、こういう一面もあるのかなーと。こうしなきゃダメああしなきゃダメとやたら厳しい制限がある代替医療が目立つのも、そうやって具体的な行動を指示しているところがウケるからなのかな…なんて考えたのでした。