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ただボソボソとつぶやくのみ

基本つぶやき ときどきブログ そんな感じのライフログ

思い出の高級飲食店

実際には高級ではなかったのかもしれない。わからない。でも、あんなに『高そうだ』と感じた食事をすることはきっとこれからもないだろう。

たぶん私が小学校高学年か中学生か…それぐらいの頃。状況からして土曜日の昼だったはずだ。突然母が「ご飯を食べに出かけよう。ふたりで」と言った。珍しいことだ。
「どこに行くの?」とたずねても答えない。ただ、いつもの母とは何か雰囲気が違っていた。

そうして連れていかれたのは、市の中心街にある料亭。個室、しかも和室に通されたような気がする。母と向かい合い、生まれて初めて会席料理というものを食べた。
美しく盛り付けされた料理が一品ごとにうやうやしく運ばれてくる様は、それまでテレビの中でしか見たことがない。明らかに場違いな自分。とんでもないところに来てしまった。私みたいな子供がいていい場所じゃないぞ…。雰囲気にのまれ、料理の内容も味も頭に入って来なかった。
母は終始どこかぎこちなく微笑んでいた。そして会計を済ませると、「みんなには内緒よ」。お代は一人につき1万円…という記憶が何故かあるが、後付けかもしれない。とにかく当時の私にとってとんでもなく高い金額だったことは確かだ。

あれは一体なんだったのか、一度も母と話したことがない。あまりにぼんやりとした記憶しか残っていないので、夢か幻だったのかと思うこともある。でもまあ父と、あるいは同居していた祖母(母からすると姑)との間に何かあったんだろう。だってその日、祖母も家にいたんだから。専業主婦で姑と完全同居。子供の目には極めて平和な家族と映っていたけれど…そういえば祖母が食事を別にとるようになったのはいつ頃からだったっけ…。

祖母はもう既に亡い。母は毎朝、きちんと仏壇にお茶とご飯をお供えしているそうだ。